避難所で怖い「エコノミークラス症候群」
その予防法とポイントを整理
災害時、避難所や車中の避難生活(車中泊)は、「エコノミークラス症候群」の危険性が高まる状況にあります。
余震の恐怖、今後の生活の不安、刻々と変わる状況…なかなか活発に動けない心境だと思いますが、それでも予防に努めなければなりません。
少しの心掛けと正しい方法で、エコノミークラス症候群が防げるということを覚えておきましょう。
エコノミークラス症候群とは
避難所での生活で怖いのが、「エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症/肺塞栓症)」。
長時間、同じ姿勢でいることにより血行不良が起こり、血の固まり(血栓)が肺に詰まって肺塞栓などを誘発する病気で、最悪の場合、命を落とす危険もあります。
特に発症者が多かったのが、2004年の新潟県中越地震、そして2016年の熊本地震。車の中で過ごす人が多く、エコノミークラス症候群を発症する人が大勢いました。
もちろん避難所の窮屈な生活でも、同様の危険性があります。
年齢を問わず、若い人から高齢者まで発症する病気ですから、予防を心掛けることがとても大切です。
「エコノミークラス症候群」の予防法
エコノミークラス症候群を予防するためには、下肢(特に膝下)の筋肉を動かすことが重要です。
積極的に足首の体操をしたり、ふくらはぎのマッサージをしましょう。
- 足の指を閉じたり開いたりする
- つま先・かかとの上げ下ろし
- 膝を両手で抱えて足首を回す(内・外回し)
- 片足の甲で反対のふくらはぎを叩く
- ふくらはぎを心臓に向かってさする/揉む
- 膝を立てて仰向けに寝てお尻を上げる
またその場で腕を大きく振って足踏みするのもおすすめ。
下肢に溜まっている血液を心臓に戻すようなイメージで、起きている間は数時間に一度のペースで実践しましょう。
他にもできる!エコノミークラス症候群予防
足首の体操やふくらはぎのマッサージの他にも、エコノミークラス症候群の予防のため、以下のことを心掛けましょう。
- 十分な水分補給
- ゆったりとした服装
- 足を組まない
- 着圧ストッキング・ソックスの着用
- 足を伸ばして過ごす
- 睡眠時は足を上げる
妊娠中の方は血栓ができやすいと言われているので、福祉避難所(要配慮者を受け入れるための設備・機材・人材を備えた避難所施設)を利用しても良いでしょう。
着圧ストッキング・ソックスを非常時の持ち出し品として備えておくこともおすすめします。
「生活不活発病」に注意!
避難所生活が長引く中で動かないでいると、体の機能が低下してしまうことも。
「動かない(生活が不活発な)」状態が続くことにより、心身の機能が少しずつ低下して関節が固くなってしまい「動けなくなる」ことを、「生活不活発病」と言います。
避難生活が終わって自宅に戻ったあとも、余震の影響や不安などから活発に動かない人も少なくありません。
日中は可能な範囲で足踏みや散歩をするなど、努めて動くようにしてください。
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避難所における
「要配慮者」の対応
避難所には高齢者、視覚や聴覚、肢体が不自由な方、外国人などサポートが必要な方も。自分の身の周りにいる要配慮者を把握し、サポート方法を知っておくことはとても大切です。
09
「こころのケア」
被災者に接するポイント
災害に見舞われた被災者は大きなストレスを受けます。特別なことをする必要はありません。「何かしてあげたい」「声を掛けようかな」と思ったら、躊躇せず行動してみてください。
07
自分たちは
自分たちで守る(共助)
ご近所とお付き合い、していますか?日常生活が奪われる大規模災害の現場では、ご近所との支え合いがとても重要。普段からコミュニケーションを取っておくことが大切なのです。
06
自分の命は
自分で守る(自助)
災害時、被害を最小限に抑えるために重要となる「自助」。いつ起こるか分からない災害に備え、自分でできることがあります。後悔しないためにも万全の準備をしておきましょう。
05
応急手当のキホン
「直接圧迫止血法」
災害時は、すぐに医師に診てもらえないという状況が当たり前に発生します。だからこそ、一人一人が応急手当の方法を知っておくことがとても重要。被害の抑制につながるはずです。
04
知っておきたい「正常性&
同調性バイアス」
「正常性バイアス」「同調性バイアス」を知っていますか?平時は心を守る二つのこころの働きですが、避難を遅らせてしまうことも。あらかじめ知っておくことが逃げ遅れを防ぎます。
03
災害時の「安否確認」や
「情報収集」
災害時、親しい人の安否が確認できないことは精神的負担に。安否確認手段の用意が重要です。安否確認手段を持つ人とそうでない人では明暗を分けることとなるでしょう。
02
大地震発生…むやみに
移動を開始しないで!
もし外出中に大地震が発生したら…むやみに移動を開始するのは危険。自分を危険にさらすだけでなく、“救えるはずの命が救えない”という事態を招いてしまうかもしれません。
01
「首都直下地震」の
被害想定について
今後30年以内に70%の確率で発生するとされる「首都直下地震」。その被害想定を考えると、防災知識を高め、正しく備えることが差し迫った課題であると認識できるはずです。